あらすじ
うさぎたちの学年は受験シーズン。
「君には勉強だけに集中するように」
と、亜美は教頭先生から励まされました。
勉強だけしか取り柄が無い。そう感じた亜美は悩んでしまいます。そもそも、亜美が医者を目指している理由は、母親が医者で、自分が勉強が得意だから。果たして、医者になりたいという願望は本当の夢なのか、と疑問を抱くようになったのです。
衛に励まされた亜美は、スポーツジムらしきところでひと泳ぎします。誰もいないと思っていた亜美でしたが、なんとそこには、優雅に潜水しているみちるがいたのです。みちるに競泳の勝負を持ちかけられる亜美でしたが、手を抜いて勝負を引き分けに持ち込んだことを見抜かれて、みちるを怒らせてしまいました。
亜美は落ち込み、その足でレイの家に勉強会に向かいました。亜美に勉強で教えて貰いところがあると駆け寄るみんなを、うさぎが制します。
「亜美ちゃんは勉強だけしていればいいんだけどね」
とうさぎなりに亜美を気遣った一言が、彼女を傷つけてしまうのでした。
落ち込み箸の上で黄昏ている亜美に話しかけてきたのは、バイクに乗った天王はるか。
「僕の相棒が再試合をご所望でね。おっと、逃げたりして手間を取らせないでくれよ。どうぞ、スポーツセンターまで送るよ」
という彼女の提案を
「結構です。歩いてきます」
と言って返すのでした。(前半パート)
みちるとの再試合が始まりました。みちるは、今までにないほどの強敵です。負けるかもしれない、というプレッシャーの中泳ぐ亜美は、どうしてこんなに一生懸命になっているのか、疑問を感じます。亜美が試合の中で得た答えは、「逃げたくないから」でした。自分の持てるベストを尽くすことが大切だと悟ったのです。
結果は引き分け。しかし、試合を終えた亜美もみちるも清々しい表情。力いっぱい戦った彼女たちに、未練はありませんでした。
突然現れたのはダイモーン。亜美は心の結晶を奪われます。→大体いつもと同じ感じで退治。
めでたしめでたしなのでした。
感想
ルナとアルテミスが戦いで活躍した貴重な話。それにしてもタキシード仮面様、強すぎです。
安藤作画からの為我井作画ということで、いつもに増して美しく感じました。ちなみに次回は中村作画。為我井さんの描く亜美はやっぱりかわいいです。亜美がメインの回に為我井さんで良かったです、本当に。SuperS以降は、亜美がメインの回は安藤さんが作画担当することが殆どになります。
杉原さんの脚本はなんかちょっと分かってしまう、といつかの感想に書きましたが、ちょっと今回もスタッフロールが出る前になんかそうなんじゃないかなぁと感じてしまうところがあったりなかったり。話の完成度にはバラつきがあるなぁと思うところがあったり。今回に限っては高い完成度を誇っていました。亜美がみちるとの勝負で自信を取り戻すことも、うさぎが亜美のために動くことも、みちるたちが亜美と仲良くなる過程も、一つの物語として起承転結の文法を抑えつつ面白く完結していて、安定感抜群でした。まあ、ちょっと難癖付けるなら、亜美を中心にあまりにも話が完結しきっているので、シリーズ全体としての繋がりを考えると浮いている話だな、と思うところはありました。
まあ、細かいことはさておき…
亜美の悩み
自分には本当に夢と言えるものが無いのではないか、という亜美の悩みは、うさぎたちが受験生だという背景から当然生じてしまう悩みなのでしょう。「勉強だけしていればいい」という刺を含んだ教頭先生の言い回しは、亜美が頭の片隅に抱えていた悩みを引き出すきっかけだったんでしょうね。
教頭先生は一方通行に言いたいことを言って去って行きましたが、衛は対照的に、亜美の言葉もしっかりと受け止めた上で、亜美の気が楽になるように励ましました。教頭先生のインパクトが強かっただけに、衛の人柄の良さが浮き彫りになりました。
みちる
「あなたの前世は、水の世界の人だったのね」
衝撃的な言葉で亜美に挨拶をした彼女。相手が亜美だったからよかったものの、一般人にそんなこと言ったら電波なオカルトちゃんだよ、あなた。
しかしこの台詞、よくできてます。いくらセーラーマーキュリーとして、水の世界の人としての自覚がある亜美でも、こんな言葉言われたらそりゃビビりますよね。この独りよがりで勝気な台詞こそ、「ただ仲良くなりたかっただけなのに落ち込ませてしまうみちる」というキャラクターを的確に表した、痛烈な一言です。そんな彼女の性格を熟知しているはるかは、やはり“パートナー”なんでしょうね。
美奈子
『覆水盆に返らず』を知らない美奈子って…いや、それを「福助がお盆に変えるとか帰らないとか」と言ってしまう彼女はある意味持ってます。
うさぎ
今回は地雷を踏んでしまいました。しかし友達の信教の変化に気付いてすぐに追いかける、そして落ち込んでいる友達のために熱心に駆け回る姿は、やかり主役の風格です。
はるか「どうぞ、スポーツセンターまで送るよ」
亜美 「結構です。歩いて行きます」
はるか「ご自由に」
すごく亜美ちゃんのキャラが立ってました。
ルナ・アルテミス
ダイモーンの浮き輪を破る、と、珍しく戦闘シーンで活躍をみせた二匹。浮き輪を失ったダイモーンは溺れかけます。しかし、心配なのはルナとアルテミスの方。猫なのに水は大丈夫なのかな?
ルナとアルテミスは、勉強会をに居るの亜美がスポーツセンターに行くところを目撃します。それだけで心配される亜美は、やはり普段から律儀なんでしょう。
全体を通して
この話、台詞や駒の動かし方の細部に至るところまで、キャラクターの魅力を引き出していました。
ところで、水のラビリンスって何よ?