アニメとかの感想書留

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第19話 うさぎのダンスはワルツに乗って

原めぐみ 脚本

安藤正造  作画

 

あらすじ

今日は衛の部屋で勉強会。うさぎは、衛の部屋のエアコンが目当てだったようです。

衛の部屋のチャイムが鳴りました。うさぎが衛の替わりに玄関まで行くと、そこにはイギリス紳士のおじさんがいました。エドワード、という名前のおじさんは、衛に、西洋館と呼ばれる自らの屋敷で開かれるパーティの誘いに来たようです。たまたまそこに居合わせたうさぎたちも、そのパーティに誘われます。

 みちる、かるかたちも参加してパーティも盛り上がりを見せる中、ユージアルが乱入してきます。今回のターゲットはエドワードさんだったのです。

 今回もピュアな心の結晶はタリスマンではなく、例のごとく敵を撃退して終わり。

 

 

感想

 例のごとく進展の無い回。おまけに、ちびうさも登場せず、1クールにスリップしたかのような印象を受けます。しかし、今回もエドワードさんというキャラクター、彼のピュアな心について丁寧な描写があったため、内容的には充実していました。エドワードさんのピュアな心というのが、「新しい世代の手助けをしたい」という献身的なもので、「世界を救うためには誰かを犠牲にしないといけない」というのが信念であるはるかとみちるとは、結果的には逆の立場を取っています。エドワードさんの考えが、メインの人物であるみちるとはるかの心情と重なる部分、または対立する部分があるため、彼を中心に語られる登場人物の考えはこれまでの話、そしてこれからの話を考える上でも参考になります。では、具体的に登場人物に焦点を当てて考えてみましょう。

 

 

エドワード

彼は昔、多くの人たちを犠牲にして財産を築き上げました。それが輝かしい未来へとつながることを信じて。しかしある時、その考えが間違っていると感じたそうです。彼が自分の屋敷を若者に提供してパーティを開くのは、輝かしい未来のため。子供たちが美しい未来を切り開くことに貢献する、そこに人生の意義を感じるようになったようです。

ちょっとこの話を聞いたときに腑に落ちなかったのは、エドワードさんの人生の前半部分です。「皆を幸せにするために財産を築いた」って言う話なんですけど、常識的に考えると滅茶苦茶ですよね。財産とかお金って、個人の幸福に結びつきが強いものです。私腹を肥やすことがどうして「他人のために」なるのか、そこら辺の論理は語られていないのでわかりません。もしかしたら、財産を集めて文化財を保護するとか、貴重な自然環境を保護するとか、立派な目的があってそれの達成のために財産を集めたのかもしれないですけど、本人の口からはそれらしいことは一切語られないので、想像に任せるしかありません。

しかし、これは勘ぐりすぎだとは思うんですけど、「皆を幸せにするために」っていう部分は、単なる言い訳ともとれることができるんですよね。だって、今現在のエドワードさんの行っていること、つまり自らの屋敷を貸し出して今の若い世代を育てるっていうことなんですけど、その行為自体、「他人を犠牲にして築き上げた」西洋館を若い世代に提供することで「他人の役になっている」んですから、彼の言う若かりしころの目的を達成していることになるんです。若い頃を悔やんでおきながら、今現在エドワードさんのしていることって、若い頃の野望の達成なんですよ。矛盾していると思いませんか?

「若い頃の自分は間違っていた」っていう発言自体が、彼の謙遜と考えることで、一応、筋道は通ります。あるいは脚本が破たんしているとも取ることが出来るかもしれません。仮説は無限に立てられるのですが、ひねくれ者の私からすれば、私利私欲のために財産をむさぼったくせに、「他人のため」っていう綺麗な言葉を付け加えることで正当化しやがったな、クソジジイ、って思ってしまうわけであります。

 

みちる、はるか

 みちるさんが衛さんとダンスしているときに「大勢の犠牲のために今の私たちがある」っていうことを言っていますけど、それは多分、「未来の発展のためにどんどん他人を犠牲にしましょう」ってことじゃなくて、「これまでの歴史の中で、やむを得ずに犠牲者を出すっていう選択肢を迫られたこともある」って言いたかったんだと思うんですね。根拠は、17話でのウラヌス・ネプチューンの会話です。

 本当にくどいくらい何度も言いますけど、彼女たちの戦いは「皆を助けたい」っていう“理想”が行動原理にあり、そのため、「誰かを犠牲にしないといけない」っていう“現実”にぶつかって苦しんでいるわけです。彼女たちの悩みって、内面的なものだけではなく、外からもたらされる現実という要素も大きく影響しているんですよね。うさぎたちは「他人を踏みつけにする冷酷な」人格に映っていますが、むしろ彼女たちは「他人を犠牲にすることに抵抗を感じる」人柄だからこそ悩んでいるのです。

 

 

水野亜美

 要所要所で、どういう話なのか纏めてくれます。丁寧な解説役。フェアリーさん。

 

作画

安藤作画。なのにレベルが高いなって思いました。

 

ギャグシーン

今回これまたレベルが高いなって思いました。安藤作画って、よく動くから、ギャグシーンとの相性も良かったりします。

 

ダイモーン

凄いデザインだな

 

あとづけ

みちる、はるかについて書いているうちに、新たな問題点が見えてきてしまった。みちる・はるかとうさぎたちの、相互の認識関係についてなんですけど、これまでモヤモヤっと感じていたこの疑問の輪郭を掴めそうです。聖杯が出現したあたりでまとめて書こうかな。