アニメとかの感想書留

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第25話 アイドル大好き! 悩めるミメット

脚本;榎戸洋司

作画;安藤正浩

演出;小坂春女

美術;鹿野良行

 

あらすじ

 デスバスターズ幹部、ミメットの次の目標はアイドルの嵐こうき。ミーハーのミメットは例のごとく嵐のピュアな心を狙いつつ彼の追っかけをします。

 一方、同じく嵐のファンの追っかけをしている美奈子は、彼に会うために彼の主演映画のヒロインを決める公開オーディションに参加します。しかし、彼と対面するには一次審査をクリアしなければなりません。

 ミメットと美奈子はオーディションの受付でばったりと遭遇します。意気投合した彼女たちは、お互いを励まし合いながらオーディションの合格を目指しました。

 二人は無事一次審査を合格します。ミメットは嵐のピュアな心の結晶を取り出したらアイドルとしての自分の将来の可能性を失ってしまうことを考え、一度はデス・バスターズを抜けることを考えました。しかし、二次審査でギリギリ不合格になってしまったため、やはりデス・バスターズの一員として生きて行く覚悟を決めたようです。

 美奈子はセーラームーンたちの力も借りながら、ミメットの悪行を阻止します。ミメットと同じように二次審査には落ちてしまった美奈子でしたが、嵐の心の結晶は守ることができました。

 

 

感想

ど、ど、ど、どうしてこのタイミングで!?と思わざるを得ないミメット(それと美奈子)メイン回。ミメットの初登場回でもなければ、「主人公サイドに寝返る悪役ミメット」という今後の物語に影響を与えそうな展開も見られない回。ピュアな心とは何かにもあまり触れられない回。存在意義が謎の回。ほたるっていう新しいキャラクターが出て来て、かつ敵も新たな動きを始めている現状でこの無意味な一話を挟んだ意味が分かりません。

「全体のバランスの問題で美奈子のメイン回も作らないといけないど肝心な美奈子が空気キャラだからミメットという新要素とからめて新しい可能性を模索した結果よく分からないことになった」と勝手に予想してはいるんですけど、憶測の域を出ませんね。

しかし、この25話、ちょっといつものように「色々と空回りちゃったギャグ回」と軽く見過ごすことが出来ないんですよね。その理由はミメットっていうキャラクターと、そして31話の彼女の死に方に関係します。31話にまとめて書こうかなって思ってたんですけど、31話は31話でミメットの他にも書きたいことがありそうなのでここで書いておきます。

 

ミメット

 今回は「アイドルの追っかけ」っていう人間らしい一面が見られたミメットさん。そもそも「夢見がちでトランス状態」というキャラクターで登場してアイドルの追っかけも今に始まったことではないんですけど、今回はアイドルになれそうかもっていう局面になって「デスバスターズを辞めようかな」って悩んだりと人間らしい一面が強調されている話となっています。それだけに、31話で電脳空間に生きたまま閉じ込められる(生死不明)というグロテスクな末路は、一視聴者としてはかなり後味の悪いものになっております。人間味を感じられるキャラクターが死ぬだけでも胸が痛むのに、電脳空間という脱出不可能な孤独の空間に意識残したまま閉じ込められるんだもんな。個人的「印象に残る死に方ランキング」とか作ったら五本の指には確実に入ると思う。

まあ、この話、“悪者とは何か”っていう物語の永遠のテーマもちょっとはらんでいます。セーラームーンのようにヒロインが正義の使者として悪と戦うように物語においては、悪と言う存在は主人公に倒されるということで輝きます。しかしこの話のように、主人公サイドとは根本的な概念が対極にあるような“悪者”なのに人間味というかなり主人公サイドに近い性質を見せつけられてしまうと、ミメットってそもそも倒されなければならないキャラクターなのか?っていう疑問に突き当たります。

ここでで、セーラームーンSにおいてそもそも「悪者って何だ」「デス・バスターズ」って問題について考えてみようと思います。私が思うにセラムンSの悪者は主に二種類あるんですね。一つ目は、具体的な脅威としての悪者。要するに自然災害みたいなもので、「地球を滅ぼす力」としての存在意義を持つ悪者。そしてもう一つは、人間が醜いと思う人間の考え方(など)。要するに、「悪役とはこういう思考をするものだ」っていう考え方をもとに作られたキャラクター性の事。

前者の方の悪者としてのデス・バスターズは一貫して描かれているので気にすることも無いんですけど、問題なのは後者の方。デス・バスターズの幹部のウィッチーズ5なんですけど、最後にセーラームーンたちの手によって倒された双子の魔女(?)以外、仲間割れで死んでいます。その理由は「他人を蹴落として昇進したい」とか「何となく気に入らないから」とかいかにも悪役が考えそうなことではあるんですけど、前者の「地球に滅びをもたらす宇宙人」としての悪者が徹底して描かれているだけに、後者の設定に無理が生じて来るんですよ。「滅び(沈黙)を美しいものとして考えている」っていう人間の価値観が通用しない存在として描かれているものに、仲間割れとかの人間的な悪を描いてしまうと矛盾が生じてしまいます。

 

異色のキャラクターミメット

 人間体でも格好いいとは言えず中身の正体もキモい土萌教授なのですが、ウィッチーズ5から観れば憧れの存在のようです。これも、宇宙からの侵略者、価値観の通じないエイリアンとしてのデス・バスターズの一面として見ると納得できます。

 しかしミメットは人間のアイドルに恋をするという、他のウィッチーズ5と比べると異色なキャラクターです。特に意味はない設定だと思います。

 しかし、さっきも言ったように、あんまり悪者のミメットに人間アピールされても、視聴者としては後味悪いし混乱するだけ。

 

それでもシリーズではましな方

 それでもこれでも、悪の描かれ方は無印からスターズのセーラームーンシリーズの中では比較的というか多分一番ましな方です。侵略者としてのデス・バスターズが描かれているだけね。と言っても、Rは所々しか見てないからよく分からない。

特に酷かったのはSuperSかなぁ。

Supersについて感想を書いてみようかな、と思ったけど際限がなくなりそうだからやめた。また今度まとまった時間でもあれば。

 

90年代アイドル

まだ主流な映像メディアが映画とTVしかなかった時代のアイドルって、2016年現在のアイドルよりも重く闇が深い職業だったのは確かですね。今回登場した嵐君とかも発言が重くて、ラブライブとかよりもベルばら的な描かれ方をされてるなぁと思いました。セーラームーンシリーズで描かれるアイドルと、今のアイドル(たとえば・・・代表的なので言えばA〇〇とか?←あんまりその方面は詳しくない)の、温度差、的なものを感じてしまいました。