アニメとかの感想書留

Twitter「@kanso_na_kansou」https://twitter.com/kanso_na_kansou カテゴリー一覧http://animekanso.hatenablog.com/entry/2016/04/07/124605

第27話 嵐のち晴れ! ほたるに捧げる友情

・杉原めぐみ 脚本

・柳瀬譲二    作画

・遠藤勇二    演出

・浅井和久    美術

 

あらすじ

ちびうさの遠足の買い物のために、ちびうさ、うさぎ、衛の三人はショッピングに出かけていました。ちびうさたちは雑貨屋さんで買い物をしていたところ、たまたま店の前を通りかかったほたると遭遇します。しかし、ほたるはちびうさの姿を見ると逃げ出してしまいました。

ちびうさは雑貨屋さんで買ってもらったリュックをほたるの家に届けました。ほたるはリュックにメモが入っていたのを見つけて読むと、このリュックを持ってピクニックに一緒に行こう、と書いてあります。

父親の勧めもあってのことか、ほたるはちびうさと一緒にピクニックを楽しみます。

ピクニック先には、衛の大学時代の先輩(←名前が分からないから適当に薔薇博士とでも呼びます)が働いている植物園があります。その先輩は、植物園で薔薇の品種改良の研究をしているようです。(Aパート終了)

 

季節外れの雹が降ります。

雹のせいで植物園の天窓が割れてしまいます。このままでは、植物園が滅茶苦茶になってしまいます。うさぎたち植物園の人たちの応援に行くことに。

そして、うさぎたちの知らないところでほたるも薔薇博士を手伝っていました。「薔薇の品種改良にはただ美しくするだけではなくて、丈夫にするものもある」って物語の締めに繋がるであろう意味ありげな台詞を投げかけるシーンはココです

ダイモーンが現れました。薔薇博士のピュアな心の結晶を奪ってしまいました。ほたるも意識を失ってしまい、ピンチです。

セーラームーンたちが表れてダイモーンに立ち向かいますが、最初こそは優勢だったものの、不意をついた攻撃にピンチに陥ります。しかしその時ほたるの全身が光り、薔薇型のダイモーンは蔓を握られ生気を吸い取られます。その隙にセーラームーンは必殺技で撃退。

敵は撃退し、空は晴れ、虹がかかり、万事解決なのでした。(Bパート終了)

 

感想

この話がセーラームーンSの中で比較的好きな部類に入る、と思い込んでいたけどそれはもう一話後の話でした。となってしまうくらい印象が薄い回。

なぜそうなってしまったかっていうと、オチがはっきりしないんですよ。薔薇博士さんがほたるに「薔薇の品種改良にはただ美しくするだけではなくて、丈夫にするものもある」って物語の締めに繋がるであろう意味ありげな台詞を投げかけるシーンがあるんですけど、最終的にはそれに触れることもなく、虹のかかった青空をみんなで見上げて終わり、というモヤモヤッとしたラストになっているんですよ。

まあ、この博士の台詞自体は、ほたるを落ち込ませてしまうかもしれない破壊力を隠し持っているもんなんですね。だって、品種改良って、悪いものを良いものに変えるって意味なので、身体の弱いほたるを悪いものとして否定する意味合いもありますから。話のオチとして利用するには、扱いが若干難しい台詞だったのかもしれません。

でも、たとえば、雹にも負けない薔薇を見て自分も負けてられないと思ったとか、まだ改良途中の薔薇を自分と重ね合わせて応援したい気持ちになったとか、それらしいラストはいくらでも考えられると思うんですけどね。ってか、何か描写一つでもないと、あの博士の台詞を入れた意味が無いじゃないか!

っていうかこの話、後半に入ってからが粗が目立つんですよね。空模様が怪しくなるシーンの前後から、ほたるの言動が突拍子ないものになったりと、物語の流れまでも雲行きが怪しくなっていくんですよ。後半パートが始まってからすぐに、ほたるがいきなり「疲れたの。先に行って」ってちびうさに突き放すような感じで言うんですけど、その理由が「友達を傷つけたくないから」というもの。しかし、ほたるが薔薇園に来たっていう時点でそういう気持ちには踏ん切りがついているはずなんですね。心境の変化があったのかもしれないですけど、それらしい描写は無し。まあ、ほたるがうさぎやちびうさから離れる、ってシチュエーションを作りたかった、ってだけなんでしょうけど、それにしてはちょっと話の繋ぎがぎこちないなあと思いました。しかも、ダイモーン戦なんて、セーラームーンたちの目の前でほたるが不思議な力を発揮するんですけど、ムーンたちは勿論ミメットたちですら彼女を認識してない、っていうヤケクソっぷり。あんだけ発光してりゃ気付くだろ、っていうね。

そんなこんなで、後半は収拾がつかない内容に仕上がっていました。しかしその反面、ほたるの過去に関する描写に焦点が当てられている前半は丁寧なんですね。特に好きなシーンは、「明日これ持ってきて!」とちびうさがほたるに遠足のリュックを渡すシーンかな。友達を作ることに消極的なほたると彼女をリードするちびうさ、っていう二人の関係性が分かりやすくてね。衛、うさぎ、ちびうさの三人を見て、幸せな家族関係に憧れるような描写も、ほたるの生い立ちを端的に表していて視聴者に優しいと思いました。