アニメとかの感想書留

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劇場版ポケットモンスター感想<ボルケニオンと機巧のマギアナ>

恒例のポケモン映画鑑賞会。そして例年通りのポンコツ映画。

しかし言っておきたいのは、決してつまらない訳ではありませんでした。まあ、よくわかんない爆発機械オチとか、多すぎるストーリーの矛盾点とかは恒例行事としてしっかり引き継がれてはいたんですけどね。

ゆえに今一つ、というか全く感情移入できなかったわけなのですが…結構面白いと思ってしまったんですよね。それは何故か。この映画オリジナルのアイディアが面白かったんですよ。例えば作中、ポケモンを強制的にメガ進化させ従わせるメガストーンが登場するんですけど、本編のメガストーンという世界観を広げた面白いアイディアだと思いました。ただ、悪者の目的を達成するための手段として活用されるのみで、それ以上の広げ方をされていなかったのが残念だったと思いました。

タイトルにもなっているマギアナなんですけど…このポケモンも、人間が一から創り出したという、これまでのポケモンとはちょっと違った生い立ちのポケモンでした。生き物らしい鳴き声とかを発することは無いし、声の替わりに発せられる機械音はピロピロと単調なパターンなんですけど、仕草とかその他もろもろの感情表現が細かくて素直にかわいいなと思いました。ただ、マギアナの隠された秘密、彼女(?)の心が宿っているソウルハートという石(?)は飛行石でした、というオチ。まあそれは予想通りです。それ以外の秘密は特にありませんでした。作中「マギアナの心が宿っている」と言われていたんですけど、どうやってこの石が誕生したのかということについて言及されているとより面白くなるんじゃないかなと思いました。ポケモンを機械のように言いなりにしてしまうメガストーンと、カラクリ人形をポケモンにしてしまうソウルハートは対極な性質なものなので、ソウルハートの生みの親エリファスの思いとかと絡めつつその設定を掘り下げたらもっと面白くなったんじゃないかなと思います。

それと、これもまたタイトルになっているボルケニオンというポケモンなんですけど…このポケモンも「人間は信用できねぇ」って耳に胼胝ができるくらい作中で言いまくるんですけど、どうしてボルケニオンが人間嫌いになったのかということについては一切言及無し。ポケモンたちの楽園で、人間たちに傷つけられたポケモンたちの兄貴分的な存在なんですけど、山の仲間たちが傷つけられたから嫌いになったのか、それとも個人的に裏切りにあったからなのかは不明。「人間は嘘を付くけどポケモンは嘘を付かない」という彼の印象的な台詞があるんですけど、それがボルケニオンの個人的な体験から発せられた台詞なのかは作中明かされることはありませんでした。おそらく尺が足りなかったのではなく、単純に考えていなかっただけだと思われます。最終的にサトシを信頼するというラストに持って行くなら、ボルケニオンの人間不信のメカニズムはもっと深く掘り下げて、ボルケニオンの視点から「サトシは自分の知っていた人間とは違う」って思わせる展開に納得が生まれるものにするとよかったのではないかと思いました。

物語の舞台となるアゾット王国も、カラクリ仕掛けの王国という設定で、かなり具体的な特色のある街だと思いました。しかし、作中では、神秘科学の大家エリファスの故郷であり、そこに破壊兵器が眠っているという設定が説明されるだけで、他にアイディアの広がり方が全く見えませんでした。いや、物語的な役割としてはそれで十分と言ったら十分かもしれないんですけど、かなり凝った背景絵で面白い街なのに、最初と最後以外全然登場しないんですよ。基本的にサトシたちは、アゾット王国とネーベル高原を繋ぐ道を移動しているだけなので、映画全体の印象としても、カラクリというキーワードは印象に残りにくいものになっていました。純粋に勿体ないと思いました。

 

 ラケル王子

 カラクリの王国、アゾット王国のラケル王子にはジャービスという科学者がいました。ラケル王子はジャービスに騙される形でマギアナからソウルハートを抜き取ってしまうのですが…正直、この展開要らなくね??別にジャービスラケルの力なんて借りなくても終始悪事を働くことなんてできたよね?

 ラケルの成長物語が描かれているならまた別問題になって来るんですけど…ラケル王子は肝心なところではずっと眠っていて、破壊要塞を爆発させる直前に、バルブを回すための力仕事を手伝うという活躍しか見せませんでした。

 ・・・

 まあ、ぶっちゃけ、声優さんをゲスト出演させたいだけだったよね、っていう。

 でも、ゲストキャラはゲストキャラとしての活用のさせ方はあると思うし、こんな物語の根幹にかかわるところに登場させておいて、描写が投げやりって一体何を考えているんだ。

 個人的な意見。ラケル王子を中心に物語を展開した方が面白くなったんじゃないかなって思わないでも無かったり。

 ラケル王子は小さいころからカラクリが大好きで、ジャービスの勧めで神秘科学の大家のエリファスの研究に特に興味を抱いているキャラクターなんですけど、この人、アゾット王国、アゾット王国に献上されたカラクリポケモンマギアナ、エリファスなど色々な設定の中心に関わる人物な訳ですし。「間違いを認めて前進する」って物語的にも主軸がしっかりしたものが作れそうですし。

 サトシたちにはキミア王女というラケル王子のお姉さんが味方に付くことになり、物語の設定を色々と教えてくれるキャラではあるんですけど…ラケル王子を中心にした方が、便利屋フェアリーとして以外の役割も担えそうなキャラだったのになあと残念に思うところではあります。

 

ラピュタ

 破壊要塞が予想以上にラピュタで笑いました。しかしその破壊力は、ネーベル高原の温室育ちのポケモンたちに一致団結されて防がれる程度の攻撃力です。

 破壊要塞を爆破する直前に「私は研究室に閉じこもりっぱなしで」(←ここまではいい)「けっかジャービスに騙されることになった」というトンデモ理論がラケル王子の口から展開され、サトシはそれに対して「ポケモンたちと旅に出た方がいいと思うぜ」という謎のアドバイスを投げかけます。そういうラストにするなら、ネーベル高原を守ろうとするポケモンたちの底力に感銘を受けるシーンとかあってもよかったんじゃないかと思いました。