第6話 恋のおたすけはムーンにおまかせ
- 柳川茂 脚本
- とみながまり 作画
- 小坂春女 演出
- 鹿野良行 美術
あらすじ
いつもの敵陣の実験室。今までの失敗を受けて、今回はカオリナイトが直々にピュアな心を回収しに行くようです。
海野の様子がおかしいです。うさぎは海野から「なるちゃんの様子がおかしい」と、そしてなるちゃんから「海野の様子がおかしい」と相談を受けますが、二人は恋仲なだけに、ちょっと事態は複雑です。うさぎはレイのアドバイスを受けて、二人を愛情コンテストに連れて行きます。
しかし、困ったことに、うさぎが二人を連れて行った頃には、愛情コンテストのエントリーは終了していました。そこで、恥ずかしそうに、既に入手していたエントリーカードを見せる海野となる。二人とも考えていることは同じで、うさぎが心配するほどでもなさそうです。
亜美、レイ、まこと、美奈子も二人の応援に現れ、みちる、はるかもこのコンテストに参加します。はるかとみちるは、このコンテストに集まる邪悪なエナジーを感じた様子です。(前半パート終了)
愛情コンテストは佳境に。壇上での愛の告白によって、満場一致で海野となるは優勝します。
そんな盛り上がりをみせる会場に突如現れたのはダイモーン。恋人に捧げるピュアな海野の心を狙います。
変身して参戦するセーラームーンたち5人の戦士。しかし、敵の幻影攻撃で一方的にやられてしまいます。そこに現れたのはウラヌス・ネプチューン。ワールドシェイキングでダイモーンにダメージを負わせます。ダイモーンと一緒に現れたカオリナイトもなぜか帰ります(←いつも失敗するから責任を感じたカオリナイトが直接動きを見せる、っていう話だったんですけど、勝負はまだまだこれからという時に帰ってどうすんねん⁉トイレでも行きたかったのかな?)
セーラームーンはダイモーンを撃退して、一件落着なのでした。(後半パート)
感想
物語は、ほんの少し進展を見せます。この話でようやく、セーラームーンとウラヌスたちはカオリナイトという幹部との初対面を果たすことができました。これから戦いが激化していく予兆をそれとなく感じさせます。
さて、今回も日常回。うさぎの日常に、前触れも無く乱入してくるダイモーンという化け物を迎撃してめでたしめでたし、という、セーラームーンの典型的な日常回です。しかしこの話の凄いところは、似たような構図の話がたくさんある中で埋没してしまわないところ。完結した一話としての完成度も高く、「セーラームーンSとは何か」という全体像について考えるにあたっても、頼りがいのある手掛かりになります。
一言で言うと、この話は『面白い!』のです。そして、そう感じさせるのは、やはり、海野となるというキャラクターの魅力でしょう。
お金持ちの家の出身で、可愛くて、性格も良くて、頭もそこそこいいなる。対照的に、勉強はずば抜けて得意だが、とにかく不器用で、空回りばかりするブサ男、海野。海野はどんなに失敗してもなるのことを想い続け、しまいには「あなたのために死ねます」とまで言う始末。なるは、そんな海野の欠点も含めて、一途な海野が好きなのです。
今回、第6話では、ダイモーンのターゲットということもあり、海野というキャラクターの「不器用だけど一途」な部分の説明が非常に上手です。それだけに、海野がダイモーンの標的となって狙われる、という展開には自然と納得がいくものになっていますし、それ故、海野を通して、「ピュアな心とは何か?」という、セーラームーンSのテーマの核心にも迫っているのです。
前回色々書きましたが、今回は普通に主人公してます。日常回は普通に主人公してるんですけどね、ターニングポイントを迎えるとウラヌスたちと立場が逆転するんですよ。
「恋のお助けはムーンにおまかせ」ってお前、ほとんど何もしてないだろ!!でも、友達のために動き、友達のために戦う姿は、やはり主人公そのものです。
海野
ここまで深く、ダイモーンのターゲットになる人物が描かれたことは、現段階ではありません。みんなの幸せを願うレイ、野良猫を心配する女の子、仕事に誇りを持つ亀田さん、天才バイオリニスト、ファーストキスに信念をもつ宇奈月と、今までターゲットにあった人は優しかったり、情熱を秘めていたりはするんですけど、“ピュア”っていう言葉が相応しいのはやはり海野の他いないような気がします。ピュアの権化です。
みちる・はるか
自分から参加しておいて、よーわからんタイミングで途中退場するお二人様。何も参加する必要は無かったんじゃ…
でも、面白かったから、細かいことは気にしない。
いやしかし、他の話と比べてもやっぱりちょっとぶっ飛んでるような…
ダイモーン(ダイハート)
かわいいです。泣き黒子がセクシー。
作画
とみながまりさんが担当されました。とみながさんと言えば、ちびうさで有名です。ちびうさを描かせたら右に出るもの無し、と言われるくらい。今回はちびうさが出ないので残念…というわけでもないんですよね、またこれが。
とみながさんは、ちびうさだけが取り柄じゃないんですよ。とみながさんの描くなるちゃんもまた、抜群の可愛さです。
ところで
作画ミス発見(笑)
脚本
柳川茂が担当されました。かれの描くみちるとはるかは、クズの領域に片足を踏み入れてしまうことがあります。
彼はこのシリーズで、5回分の話を担当されます。それでも、担当話数だけ比べるとしたから二番目です。このアニメに携わった脚本家は作画監督の1/2の人数です。アニメーターというのがいかに大変か、ちょっとだけ内情が見えたような見えないような…
亜美
「そういうの、主客転倒って言うのよ」
本日の名言。
そう、それだよ!!それがこのアニメの問題点なんだよ!!!!