デジモンゴーストゲーム感想
久々のアニメとかドラマの感想です。
最近は凄く良い物語にいくつか出会えたんですけど、感想文をまとめるにしては(私が書かなければならない文量が)あまりにも重かったので躊躇していたんですよね。
そんなところ、丁度いい文量で書けそうないい題材が見つかったので書いてみようと思います。
今回感想を書くのはデジモンゴーストゲームです。
現在進行形で放送中のデジモンの最新作です。
以前からタイトルは知っていたんですけど、基本的に初代以降のデジモンは好きになれなかった(02も含む。テイマーズだけ見ていない)ので、あんまり期待していなかったんですよね。「まあ、見て見るか」という気持ちでテレビをつけてみて偶々目にした話が「歪ンダ愛」だったんですけど、シナリオの完成度が凄く高くて、思わず魅入ってしまいました。
それから次の週は「飢餓屋敷」だったんですけど、これもまた完成度が高い話で、「今作のデジモンはなんか違うゾ!!」と思い最初から配信サイトで見てみました。結果、最近観たどのアニメ(というかあまりアニメ自体最近はあんまり見ないんだけども)の中で一番面白かったです!
好きなところは細かいところを上げればきりが無いのですが、中でも一番は、”デジモン愛”が伝わるところですね。一話一話のシナリオの完成度が高いのは、デジモンが単なる怪奇現象を引き起こすための舞台装置として扱われて終わりではなく、「このデジモンはどういう生き物なのか」っていうところまで一つ一つ丁寧に描写してくれているので、かなり奥行きののある世界観が出来上がっていると思います。
また、この作品は、いい意味で”慣習”を打ち破ってくれます。
例えば、デジモンや人間の「死」に関する描写です
個の作品では、割とデジモンに人間が殺されることは珍しくはありません。そのため、バトルやシナリオの展開に常に緊張感を与えてくれます。デジヴァイスが発するバリアで主人公たちだけはデジモンの催眠攻撃とうにはかからない、といったような主人公特権もありません。凶悪なデジモンに対しては、一歩間違えれば主人公たちでも命を落としてしまいます。そのため、失敗してはいけないという緊張感が自然と与えられる内容になっているんですね。
また、デジモンという生き物は(どのシリーズでも共通して)戦いに敗れるとデジタマに戻るのですが、主人公たちはそれを「生まれ変わっても同じ個体じゃない」と認識し、デジタマに戻ることを死だと認識しています。そのため、暴れているからという理由でむやみにデジモンを殺生することを主人公たちは拒みます。
この手の…というかアニメ作品全般って、ことなかれ主義というか、こういう、現実世界の実害みたいなものを描写するのを極力忌避する傾向があります。そのため、良く分からない魔法の力で全部実害は無かったことになっていました、みたいな展開で誤魔化して終わるパターンが多いのですが、このアニメは、主人公たちの視点から(←ココ重要)、そういった汚い部分がどのような意味を持つかと言うことを丁寧に描写してくれるので、細部にリアリティを感じることができる内容になっていると思います。
一部からはこの作品は不評らしいです。不評の中でも最も大きな声は、「全部が日常回で倒すべき巨悪が見えない(目的が分からない)」ということです。
確かに一理あると思います。
全体の中でどこに向かっているかということは、丁寧にこの作品を追い続けた人や、若干の理解力がある人じゃないと難しいかもしれないです。
この作品が向かっている大きな目的は、現時点では主に二つあると思います。
①ガンマモンの成長
②人間とデジモンの共存
土の話も、この二つの要素のうちどちらか片方は必ず入ってきます。
おそらく、ガンマモンの成長を通じて、人間とデジモンがお互いにどのような関係であるべきかということを模索するのが最終目標なのではないかと思います。
これまでの話の積み重ねで、デジモンと人間はお互いに危害を及ぼしあう可能性を秘めているので、共存がかなり難しいことだということはわかります。一方、ヒロと出会ったおかげで、最初は生まれたばかりの赤ん坊のようだったガンマモンが段々と成長したりと、デジモンと人間が関わる中で生まれる新しい絆や力と言ったプラスの面もあります。
こうした関係性の良いところと悪いところ、色々な面を主人公たちが見て感じて、最終的にどうなりたいか、そのためにはどうするべきかという結論を出すのではないでしょうか?
分かりにくいと思う方がいたら、よかったらこの視点から物語を見てみると、少し楽しめるようになるかもしません。