第13話 奪われた純な心! うさぎ絶体絶命
脚本 |
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中村太一 |
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演出 |
佐々木憲世 |
田尻健一 |
あらすじ
変身ブローチを奪われて、タキシード仮面をガラス漬けにされて、絶体絶命のうさぎのところに駆けつけたのは内部セーラー4戦士。カオリナイトはうさぎに、タキシード仮面を人質に取って、東京タワーまで一人で来るように要求しました。
丁度よく現れたみちるとはるかに、うさぎは東京タワーまで送ってもらいます。はるかは突然、うさぎにこう言います。
「お団子頭。人間って、結局誰かを犠牲にして生きているんだ。そう思わないか?」
(中略)
「でも、踏みつけている人たちはそれでいいかもしれないけど、踏みつけられている人たちはどうなるの?犠牲になる人たちのことは、考えなくてもいいの?あたしは、他の人が不幸になるのを見過ごして、自分だけ助かることなんてできないわ。ひとりじゃ無理かもしれないかもしれないけど、皆で力を合わせれば、犠牲者何て出さなくてもいい方法が見つけられるはずよ。きっと」
「うさぎ、あなたって、優しい子ね」
そんな会話をしているうちに、東京タワーまで到着してしまいました。
うさぎはカオリナイトの策略通りにピュアな心を抜かれます。しかし、それを横取りしに入ったウラヌスたちが、うさぎのこころはタリスマンではないことに気付きました。どうやら、輝きの強さはただの純粋さのバロメーターでしかないとのこと。
しかし、うさぎの正体を知っているカオリナイトはうさぎを生かしておくわけにはいきません。うさぎを手に掛けようとしているところに、謎のセーラームーンの影が現れるのでした。(前半パート)
セーラームーンの偽物はセーラーヴィーナスの変装。カオリナイトは、すっかり騙されてしまいました。
ウラヌス・ネプチューンはカオリナイトと決闘をしに上の階へ、セーラーヴィーナスたちはダイモーン、セミシエンタと戦います。変身ブローチを取り戻したうさぎはセーラームーンに変身して、セミシエンタを撃退します。
タキシード仮面も加わった一行は、ウラヌス・ネプチューンを助けに行きます。カオリナイトは強敵らしく、苦戦している様子です。
カオリナイトは特殊遠距離攻撃機能付きのガラスの剣を使ったり、自らに強烈なシールドを張ったりと、この戦場に万全の備えを施していた様子。退路も断たれてセーラームーンたちは追い詰められていきます。
この状況を打破するには、セーラープラネットアタックしかありません。タキシード仮面が時間を稼いでくれたこともあり、作戦は成功し、見事、カオリナイトのシールドを破ってダメージを与えました。
しかし、カオリナイトはまだ力を残しています。一方のセーラームーンたちはパワーを使い切ってしまった様子。止めを刺そうとするカオリナイトの攻撃を、ウラヌスの必殺技が跳ね返します。悲鳴を上げながら、カオリナイトはガラス漬けになり、崩れ落ちる東京タワーと運命を共にするのでした。(後半パート)
感想
こんなに酷かったっけ?この話。改めて見ると「ん?」と引っかかるところだらけで…
天王はるか・海王みちる
えっと…このお二人に関しては特に事情が込み入っているというか、意味不明というか…
このお二人は「誰かを踏みにじってまでも幸せになりたい」のではなくて「できれば犠牲者を出したくないけど、世界を救うためには仕方ない。使命のためには仕方ないと割り切るしかない」っていうのがスタンスであって…だからこそ理想と現実の狭間で揺れているのであって…そうすると、そもそも協力すれば敵を倒すことの可能性があるにも関わらずセーラームーンたちを見捨てるような行動は選択肢に上がって来ないわけで…
「ウラヌス、あなた怪我してるじゃないの⁉ここは私たちに任せて、逃げるのよ!!」
ってうさぎのセリフすら「セーラームーンたちを見捨てる非常なウラヌス」の演出のために用意されたセリフのように思えてならないんですよね。
「仕方なしに犠牲者を出す」ことと「他人を踏みつけにしてのしあがる」ことの区別がついてないんじゃありませんか?
最初の方はそれこそ方針が定まっていなかったり、物語の作り手もはるかとみちるというキャラクターの輪郭を掴めていないところがあったのかもしれないですけど、流石に13話、しかも折り返し地点でこれはちょっとヤバいんじゃ…
っていうかドライブ中にまたウラヌス・ネプチューンの正体に気付きかけるんですけど、それが物語に何らかの影響を与えることは一切ありません。第9話の『友達を救え! ムーンウラヌス連合』でも同じような現象が起きてたけどさ、ホントに何のためなの?ワケワカランティーノ
セーラージュピター
この方が、「根は良い人たちのはるかとみちるを勘違いしてしまった」キャラクターなのはわかりましたけど、他のセーラー戦士たちまで彼女に便乗して二人を嫌う理由って、今のところどこにも無いんですよね。美奈子の「ハイエナみたいな連中ね」っていうのは、セーラー戦士たちが潜在的にしろウラヌスとネプチューンに対して抱いていた印象というものを如実に表したものなのでしょうが、無能な彼女たちが何度も助けてもらっている恩人二人を相手に、言いすぎなような気もします。
他にも文句多数
マーズ 「あたしたちは絶対に」
ジュピター「諦めたりしない」
いやぁ、ここにまでケチつけちゃうと完全に難癖なんだけどさ、この台詞が唐突過ぎて違和感なんだよね。諦めるとか諦めないとか、それが危機を乗り越えるのに重要になるような曲面なの?こういう台詞って、主人公たちが万事休すの状況で輝く物であって、逃げ道を塞がれたくらいで言われてもねえ。しかも直後に、カオリナイトが自らに強烈なシールドを張っていることが発覚して、まさにその絶体絶命、万事休すのような状態になるわけですけど、その時はその時であっさり動揺しちゃっていましたしね。本当に、なんのための茶番だよ!!
まあ、私はこういう具体性のかけらもない便利な台詞が大嫌いなんですけど、せめてこういう馬鹿みたいな言葉を使うなら、それ相応のシチュエーションにしてクレヨン。
中村作画
中村さんの作画はハードスケジュールということもあって、ある程度は仕方ない。38話もあるんだから、「全体の何話かには犠牲になって貰わないといけない」(←それが作画班の使命だから)とは思っていますが、シナリオの酷さとの相乗効果で、今回は本当に笑えません。第9話と同じくらい笑えません。アップのはるかの下手さもそうなんですけど、遠近感が歪んでいて、室内なのに車酔いしそうです。
カオリナイトは他のキャラクターに比べて上手い気がするんだけど、気のせい?