アニメとかの感想書留

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ひっそりとポケモンサン&ムーン感想

 始まる前から不穏な影をチラホラと垣間見せていたアニメ版ポケットモンスター サン&ムーン。先週の11月17日、ついに初放送となりました。結論から言うと…具体的に何がダメと言い切れるレベルまでは達していないけど、今後の展開をどうするんだろうという計画性のおぼつかない部分をちょっと感じました。

 まず最初に触れておきたい不安要素は、サトシの旅の目的意識の薄さ、かな。えーっと、今回のポケモン、従来のジム戦システムが廃止されました。そして代わりに導入されたのが島めぐりという試練。この二つ、どう違うのかというと…従来のジム戦はポケモンリーグという大きな大会に出場するための関所だったんですけど、今回の島めぐりはZ技を習得するための関所なんですね。一見すると「Z技を習得する」という最終目標が定まっているように思えますけど、Z技を使って何をするのかというところが骨抜きなんですよ。サトシは相変わらず「ポケモンマスターを目指している」って言ってましたけど、そもそもポケモンマスターが何なのかって設定がいい加減明かされていないので、「Z技の習得」との関連がよく分からないことになっています。ゲームの設定だとアローラ地方にはポケモンリーグは存在しないと断言されているみたいなんですけど、技というものは活用する舞台があってこそ磨く物。

 今後の冒険で「どうしてZ技を習得したいの?」って質問はいつか必ずサトシにされることになると思いますけど、きっと彼は「強くなりたいんだ」と答えるでしょうね。言ってしまえばこの台詞、ダメな少年漫画にありがちです。具体的なようで、抽象的です。具体的な目標を与えられていないから、具体的な答えの示しようが無いんですよ。

今までも「強くなりたい」って便利な台詞が流用されてきたことは幾度となくありましたが…ポケモンリーグに優勝したいという前提があるなしではやはりちょっと重みは違ってくるかな、と思います。現状だとちょっと宙ぶらりんな設定が多くてフワフワしている感じですね。

 宙ぶらりんと言えば…サトシのリセット具合も歯切れが悪い感じがしました。「ケンタロスには慣れてるから」と過去作品の記憶を引き継ぐ描写をしておきながら、サトシの性格そのものを改変させたりピカチュウを弱体化させるところに確かな歪さを感じました。少なくとも、リーグ準優勝入りを果たした少年にスクールライフをさせる中で誰が何を教えるかってことに関して、なんにも考えて無さそうなのは十分伝わったぜ。BW以降、サトシとピカチュウのリニューアルに関してはもう製作者の方も開き直ってはいるんでしょうけど、過去作品の扱い方の雑さはちょっとあのBW時代と共通する何かを感じて不安要素です。

 さて、目的意識の薄さ、過去作品の扱い方の雑さと二つの不安要素を書き連ねましたけど、実は一番不安を感じるところは別のところにあったりします。ズバリ言ってしまうとそれは…ドラマを生み出すようなキャラクターが一人もいないってことですかね。

 今回の旅、アローラ地方の冒険はサトシがホームステイをするという長期旅行の形をとり、今までの冒険とは違う形式になるんですね。従来の冒険型のお話では、固定された主要メンバーから事件に入り込んでいく、サン&ムーンみたいに拠点が決められてしまっている場合は、既存の状況の中に事件が舞い込んでくるっていう形になるのが普通だと思います。つまり、前者はその都度新しい舞台を用意することができるんですけど、後者はシリーズを通して一貫した舞台が用意されていないとシナリオが展開しにくいんですね。もし今後、スクールライフを中心に物語を展開したいなら、既存の人間関係や、キャラクターの役割といったものを明確に用意してあげないと本当にキツい。1話では今後お話に関わっていくであろう5人の少年少女たちが紹介されていて、それぞれ熱血漢だったり嫌味っぽい雰囲気を醸し出していたり、理知的だったり臆病だったりというキャラクター付けはされていましたが、立ち回りというものが意識されいるかというと…シトロンという前例があるだけにけっこう中々不安ではありました。

 まあしかし、まだ1話の段階で、あんまり決めつけてしまうのはよくありません。喋るロトム図鑑とか爆弾要素はまだ投下されていないでコレっていうのはやはり不安ですが…あたたか~く見守って行こうと思います。