アニメとかの感想書留

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第17話 運命のきずな!ウラヌスの遠い日

脚本

榎戸洋司

作画

爲我井克美

演出

五十嵐卓哉

美術

田尻健一

 

 

あらすじ

中学三年生のうさぎたちは、志望校の白樺高校に見学にやってきます。そこで出会ったのはエルザ・グレイ。彼女は天才陸上競技選手として有名で、この白樺高校の陸上部の部長も務めています。

今回の敵の標的はその彼女でした。ユージアルに狙われるエルザを、いつものようにみちるとはるかは陰からこっそり様子を伺うだけで、見捨ててしまいます。しかし、はるかはピュアな心を抜かれる彼女から、何か思うことがあるようです。

 

エルザ・グレイははるかとみちるを引き合わせた人でした。はるかは、戦士として目覚めの予兆を感じていながらも、重い使命から目を背けていました。自分には関係ないと、言い聞かせていました。そこに、エルザに連れられて現れたみちるは

 

「あなた、風の騒ぐ音が聞こえるんじゃない?」

 

 と言います。その一言で、はるかは確信しました。みちるも自分と同様に、戦士の宿命を背負った人間だと。しかし、戦士としての自分を認めたくないはるかは、みちるのそんな言動を気に留めていない様子を演じます。

 はるかはみちるから、豪華なクルーズでのバイオリンの演奏会に招待されました。はるかはその演奏会に趣くと、そこでみちるが世界の終末を描いた絵を目にしました。みちるは、その絵は単なる空想ではなく、実際に見えるのだと言います。そして、はるかもまた、同じ光景が見えるはずだと、みちるは言い張ります。

 

「馬鹿らしい。僕は日本初のジュニアレーサー、天王はるかさ。前世の記憶も世界の終末も、僕には関係ない。誰かがやらなければならないなら、君がやればいいさ。僕のことを勝手に調べるのはやめてもらいたいな」

「勝手なこと、言わないで。私だってごめんだわ。私にはバイオリニストになるという夢があるの。世界を破滅から救うなんて馬鹿馬鹿しいこと、やってられないわ」

 

 と、結局二人は衝突してしまうのでした。

 

 日は改まって、はるかは人間の少年が化物に変身するのを、その目で直に目撃してしまいます。化け物に襲われて危険なところ、不思議な輝きに辺りは包まれました。そして、輝きの源からは不思議な形のリップクリームが現れます。導かれるように手を伸ばすはるかに

 

「ダメよ!」

 

 と声をかけたのはみちるでした。

 

「それを手にしたらだめ。一度手にしたら、もう二度と、普通の生活に、戻れない」

 

 みちるはセーラーネプチューンに変身すると、ダイモーンに一撃喰らわせます。止めを刺そうとするネプチューンと化物の間に、すかさずはるかは割って入ります。

 

「ダメだ!こいつはさっきまで人間だったんだぞ!君は平気なのか?人殺しなんだぞ」

「沈黙が迫っている。こうしなければ、さらに多くの犠牲者が出るわ」

「だから手段を選ばないというのか?」

「そうよ、私は手段を選ばない」

「君はそれでも…」

 

そう言いかけたところに、体勢を立て直した化物がはるかを襲います。ネプチューンは春かをかばい、怪我を負いますが、間一髪のところで必殺技を放ち、敵は撃退されるのでした。

怪物が元の人間に戻ったことに安堵するネプチューン。そして彼女は、本当は人間相手の戦いが平気ではないこと、しかし戦士の使命を背負った者として諦めていると語ります。さらに、想い人であるはるかを、自分と同じ運命には遭わせたくなかったと、胸の内を明かすのでした。

 

(ここまで、はるかの回想)

 

 はるかはエルザのピュアな心が現れたタイミングを見計らって、変身します。内部セーラー4戦士が束になっても敵わないダイモーンを、二人は見事な連携で追い詰めました。セーラームーンの必殺技も決まり、エルザの命は救われるのでした。

 

 

感想

私がみちるとはるかというキャラクターを考えるときは、この17話が中心になっているんだなと、見返してみて改めて思いました。

これまでみちるとはるかは、主人公やその仲間たちとの絡みで登場したり、戦闘シーンのワンシーンだけ現れたりしていましたけど、どれも断片的な登場の仕方でした。そのため、みちる、はるかというキャラクターを考えるときには、判断材料に乏しかったのも事実です。しかし、この話は一味も二味も違います。みちる、はるかというキャラクターを、より丁寧に、より近く描かれることになりました。

まず、みちる、はるかが主観になるシナリオ展開は、後に先にもこの17話のみです。彼女たちが主人公になって話が展開される中で、これまで語られなかった彼女たちの胸の内が明らかになりました。たとえば、第9話『友達を救え! ムーンウラヌス連合』では、「誰だって犠牲者は出したくない!でもそれで、世界が救われるなら、お前ならどうする?」とウラヌスの覚悟が語られますが、今回の話では逆に、「手段を選ばない」と言っているネプチューンを「人殺し」と称して、身を張って止めていました。既に戦士として覚醒してしまったネプチューンと衝突するはるかの姿は、ウラヌスとしての自分と天王はるかとしての自分の考えの葛藤そのものなのではないでしょうか。自らが人殺しをする可能性が考えられない優しい世界で当然のように過ごしてきたはるかが、戦士としてのネプチューンと衝突する、しかし最終的には、孤独な彼女と共に戦う運命を受け入れるという選択を「なにもかも承知の上で」取りました。ウラヌスとして覚醒する道を選ぶまでのいきさつの中で、彼女自身の物語として語られることで、9話で語られた「犠牲者は出したくない」という言葉が表面だけのものなのではなく、彼女自身の生き方ともいえるくらい重みを帯びていることが明らかになりました。

また、一般人としてのはるか、みちるが主観的に描かれたのも、この話が初めてです。「バイオリンが得意で凄い」とか「かっこいい」とか、うさぎやその他の皆の目線から語られることはありましたが、彼女たち自身から「バイオリニストになりたい」とか「僕は誰でもない、天王はるかだ」というような、一般人として生きる姿勢を貫きたい彼女たちの思いが明かされたのは今回が初めてでした。また、命の掛っている戦士としての宿命を背負うことがそんな彼女たちの日常も、夢も潰しかねないということ、そして彼女たちがその辛い選択を取ったという事実もあります。「目的のためには手段を選ばない」と言っている彼女たちですが、それは自分たちのことにも当てはまり、二人は戦士になった瞬間から、一般人として生きる道を犠牲にしたのです。彼女たちがどこまでも使命に忠実なのです。

このように、この17話、これだけでみちる、はるかというキャラクターが確立してしまうくらい、二人の背景が説明され尽くされています。全部で38話あるセーラームーンsの中では、作品に関わった脚本家は全部で6人おりまして、当然、誰が書いたシナリオかで二人の人格に若干の乱れはあります。しかし、多少人格がブレてしまっていても、この17話と照らし合わせれば大体の矛盾は消化されてしまうのです。それくらい、この17話というのは、強烈にみちるとはるかというキャラクターを確立した話なのです。

そのため、逆に、この話と決定的な矛盾を生じてしまうような話には、「間違った」みちるとはるかの捉え方がされてないか、と疑問を抱いてしまうこともしばしば。2話『愛のロッド誕生?うさぎの新変身』では、ダイモーンに襲われて絶体絶命のうさぎたちを、特に深い理由も無く簡単に切り捨てていましたが、「大勢の人を救いたい」という、今回描かれたウラヌスたちの目的からしてみれば、かなり奇怪な行動なんですね。まあ、第2話ということで、まだキャラ設定も定まっていなかった頃でしょうから、突っ込むだけ野暮というものですが。

 

作画とか演出的な物

爲我井克美さん作画ということで、どなたもかなり美人に仕上がっております。とてもよく動き、アニメーション的な魅力も十分です。セル画って、酷いもの酷いんですけど、良いものは本当に良いんですよね。細かい動きなんかがデジタルよりも自然に再現されます。まあ、あくまでも一般人の個人の感想ですけど。

今回がウラヌス・ネプチューンの初変身お披露目会。何度見てもかっこいいなぁ~と。初変身がこの回って言うのも、感慨深いですね。変身の最後に口紅が塗られる演出が入るのは、変身アイテムがリップクリームだからなんですね。割と最近知りました。

全部好きなんですけど、みちるの髪の毛ファサーが一番お気に入りかな。

 

ちょっと突っ込み

はるかさんの肩幅、完全におとk・・・