アニメとかの感想書留

Twitter「@kanso_na_kansou」https://twitter.com/kanso_na_kansou カテゴリー一覧http://animekanso.hatenablog.com/entry/2016/04/07/124605

第30話 沈黙のメシア覚せい? 運命の星々

脚本;榎戸洋司

作画;長谷川眞也

演出;小坂春女

美術;浅井和久

 

 

あらすじ

魔笛』レベルにデタラメな内容なので、省略します。簡単に説明すると

 

ちびうさ、ほたる、うさぎたち5人がプラネタリウムに行く

ダイモーンが襲ってくる

戦いの最中、ほたるのセーラーサターンとして少し覚醒

ウラヌスたちVSムーンたちのドタバタ劇

カオリナイトの不思議な力で万事解決

 

ってな流れ…ゴメンよ魔笛は言い過ぎた。

 

 

感想

説明回。例のごとく意味も無い情報が明かされまくります。

もう考えるのがアホくさいレベルだからすっ飛ばしちゃおうかな、って思ったんですけど、そうすると他に書くことが無くなるので、ワタシ、ガンバル!!

 

聖杯が出現してから外部太陽系三戦士が隠し持っていた情報は以下の三つ。

 

・外部太陽系三戦士の正体

・異次元からの侵略者である敵の正体

・土萌ほたるが滅びの戦士、セーラーサターンの可能性があること

 

三番目はとにかく、他の二つは隠す意味ないですよね。なんかこう、ファンブックだけに載ってる後付けみたいな情報を、意味ありげにもったいつけられるとホントにカチンとくる。「ほたるとちびうさの友情を描くためにシナリオが進行してはいけない」という大人の事情のせいで、視聴者に「シナリオ的に足踏みしている」印象を抱かせないようにするために、シナリオに全く影響のない事実を少しずつ明かすことで見かけ上シナリオが進行しているように思わせる、といういわば詐欺のような手法を30話もの長期間使わないでください!!!

まあ、それはもういいんだけどさ(いいのかよ!)。この話の場合それ以上に問題になるのは、他の登場人物が軒並み馬鹿になる恐ろしい話の展開。

せつなさんもさあ、「私も、これ以上あなた方に真実を告げないまま戦うことができないと思います」とか言ってるくせして、土萌ほたるの正体について一切触れないし。この言葉の前置きってさあ、「戦いが終盤に近づくにつれて、いよいよ外部太陽系たちもセーラームーンたちの協力を仰がなければならないほど、事態が緊迫している」って状況を表してるんじゃないのかい!自分たちの力量を超えた「セーラーサターン」っていう問題があるからムーンたちの協力が必要、って流れだったんじゃないんかい!

っていうかさあ、もうそもそも、聖杯が出現したこのタイミングでデス・バスターズの正体なんて話してるのがおかしいんだけど。だって、太平洋戦争の終盤で、将軍たちが「実は戦争相手のアメリカって国、白人の国なんだぜ」って話してるみたいなもんじゃん。正気を疑うぜ!

マーズもあからさまに重要な予知夢を見ておきながら、うさぎたちに一切合財言わないし。心配させたくないから言い出せない、みたいな描写がありますけど、本当は信頼していないのでは?うさぎたちの関係なんて、普通の友情の枠をはみ出た戦士としての絆が前提にあるわけですし、それでも言い出せないって言うことは、やはり信頼していないんだと思います。

今回の話に関しては、ミメットまでもが迷走してるし。ピュアな心の結晶を奪っておきながら、計画の妨害をするとは到底思えない無害な一般人に必殺技ぶっ放すっていう、いかにも悪者のやりそうなことをさせられる。しかも、セーラー戦士が登場したらダイモーンに任せてすぐに撤退するという始末。そのダイモーンが飲み込んだピュアな心の結晶が欲しくてここまで来たんじゃないのかい、あなた。「まだ敵陣がほたるの正体に気付いてはいけない」っていう大人の都合があるからこういう無理矢理な展開にさせられたのかと思いきや、最後の最後に土萌教授が「そうだ、あの娘は破滅の星を守護に持つセーラーサターンだ」とか言っちゃってるから、本当に意味不明な展開になってるし。

もっと意味不明なのは、レイの台詞。ほたるに攻撃を仕掛けるウラヌスたちにレイちゃんが「たとえサターンが滅びの戦士でも、それを封印するためにほたるちゃんを殺す権利なんて誰にもないわ!」って言うんですけど、「何言っちゃってんの、こいつ?」って正気を疑うレベル。地球を守るために、悪の知的生命体を殺しまくってきたお前らが良く言えるな。「たとえクインベリルが滅びの戦士でも、それを封印するために彼女を殺す権利なんて誰にもないわ」ってジェダイトが言う、って構図とまるっきり同じだって気付かないの?気付いて。

ってかそもそも、ほたるが地球を滅ぼすことを前提に話していることがおかしんですけどね。要するにほたるって、「地球を滅ぼすレベルの力をもったセーラー戦士」な訳でしょう?めちゃめちゃ戦力になりそうなんだけどね。まあ一応そこらは後々説明になってない説明があるので今回は追及しないでおくけど。

まったく、問題児ばかりで困っちゃうぜ!

 

まあ、色々言ったけど、ほたるとちびうさの友情に関しては、例のごとくメチャメチャ丁寧だなって思いました。簡単に説明すると

 

「トモエさん、一緒に宿題やろうよ」と声が聞こえて、下校途中のほたるは自分が呼ばれたのかと思ってワクワクするけど、勘違いだと気付いてガッカリ。

そのすぐあと、ちびうさがほたるを待っていてくれた。プラネタリウムに一緒に行こうと誘われる

「寄り道は無理」とガッカリするほたるを強引に誘う。しかし、ちびうさが自分勝手な訳ではなく、「わたしも一緒に謝るから」と相手のことを思いやる描写もあり。

 

ってな感じ。

カテ一覧

はてなブログは管理人しかカテゴリーの一覧を表示できない仕様のようなので、簡単なものですが作ってみました。

本当は、迷走していて人目に晒したくないような記事もあるんですけど、自分への戒めも込めてここは敢えて。

 

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(セラクリ3期)第1話 無限1・前編

あまりこのアニメに対して友好的じゃない部分があるので、このページの内容を読む前にリンク先のページを読んでください。

デス・バスターズの本拠地で敵ボスの語りからスタート。えっと、頭の良い方ならとにかく、わりと初っ端から意味が分かりません。

 

光が目覚める。我らが聖地を破滅に導く光。別の光も見える。星の光、星の守護の輝きだ。我らが住む世界と近しいパワーに溢れたこのエリア。その巨大なオーラにみな引き寄せられる。星の守護の輝きの中に、我らが命の源ダイモーンクリスタルに近しい光を感じる。魅かれる。この聖地は我らのもの。我らがここに新世界を築くのだ。誰にも邪魔はさせぬ。異物は消去せよ  (青文字;大ボスの台詞)

 

えっと、これを要約すると、「エネルギー源になる『光』を得るために、邪魔してくる『光』をやっつけよう」ってことかな。おそらく漫画そのままなんでしょうけど、詩的文体で敵の目的を説明される、っていう開幕に脳味噌が対応するのに時間がかかるんですよね。

その後も矢継ぎ早に「マスターファラオ90」という敵ボスの名前が明かされたり、謎の少女が夢の中で「三つのタリスマンの光が破滅を導く」と言っていたりと、OPが始まるまでの2分間の間に怒涛の情報ラッシュが押し寄せます。なんかもう既に不安なんですけど。

 

で、気を取り直して月野家の平和な食卓のシーンから始まるんですけど、テレビを通して「先祖返り」という現象が起こってる事件が伝えられるんですね。

えっと、これについては何から突っ込んでいいことやら。ちびうさが「先祖返りって何?」ってうさぎの父親に訊くんですけど、それに対して「人間の祖先はね、ゴリラみたいな姿だったんだよ。その姿に戻ることだね」って説明してくれるんだけど、画面に映ってる化物、明らかにゴリラとはかけ離れた形態をしてるんですけど。テレビの解説で「関係者は、これは先祖返りの一種ではないかと述べています」っていう台詞があるんですけど、この世界において先祖返りってよくある現象なのかな。セーラームーンたちの力を以てしないと解決できない怪奇事件なら、専門家と言えども一般人の理解の範疇を超えてる超常現象だと思うんですけど。同じくテレビを観ていたルナたちも「先祖返り。人間が怪物に?」ってポカーンと感想を述べているけど、戦士を導く猫としてそんな他人事みたいにしてていいのかっていうね。

結局先祖返りした人がどうなったのか、っていうのは作中で触れられず。ウラヌスとネプチューンあたりがやっつけたんだろうけどさあ、そんな事情は微塵も知らないちびうさとルナが「助けなきゃ」って方向に心が動かないのがスゴく不気味なんだよね。

 

次に来るのはうさぎの登校シーン。ちびうさがどういった存在かということが軽くおさらいされます。「未来から修行のためにやって来た」ってことだけ説明されてるんだけど、アニメ版と違って「修行のために友達を作りなさい」とか具体的な指示はなし。原作を読んでないから分からないんですけど、もしかしたらここら辺が原作と旧アニメの物語の分岐点なるかも。

 

で、シーンは変わって満さんの登場。スマートフォン使ってるとかビックリポイントはそこじゃないです。自前のヘリに「海王丸」と名前をつけて「おはよう」と話しかけているところです。

まあ満さんときたら次ははるかさんが来るのは当然の流れで。はるかがレースしていることと、二人がヘリコプターで通学していることが明かされます。

で、ついでに満とはるかが付き合ってることも明かされます。

 

で、場面は変わってゲームセンターへ。レースゲームをしていてうさぎたちははるかと知り合います。

一方、衛は道ですれ違った満とぶつかって、彼女の落とした鏡を拾うことに。そして衛は満から「貴方、前世は王子様ね」とかズバリ言い当てられます。

 

そしてまたまた場面は変わって、はるかたちと別れたうさぎ一同は、なんとなく駄弁りながら道を歩いているんですね。ここで満とはるかが無限学園という学校の生徒であることと、二人の概ねのプロフィールが解説されます。

すると、いきなり空が曇って暗黒の物体が降ってきました。暗黒の物体に直撃された無限学園の生徒は化け物に変身してしまいます。

一同は変身して、その人を元の人間に戻してめでたしめでたし。

っていう風な流れになってるんだけどね、うさぎたち、なるちゃんと海野の前で思いっきり変身してるんですけど、正体隠さなくていいのかな?原作はそういう作風なのかも。ま、なるちゃんと海野自体何のためにその場にいるのか分からないとかそういう突込みはしませよ。まだ事件に深入りする前のこのタイミングでしか彼女たちがお茶の間のテレビに映る機会は与えられないのですから、暖かい気持ちで応援してあげましょう。

 

その後、例の秘密基地で事件の反省会を開きます。ルナの情報で被害者は「先祖返り」したことが明かされます。で、今朝先祖返りした生徒も無限学園の生徒だったことから、無限学園が怪しいんじゃないか、ってことになって、うさぎが無限学園に向かうことを決意しました。

 

えっと(四回目)、どこから突っ込んでいいのかわかんないですけど。まず、「先祖返りした二人の人間が無限学園の生徒だから無限学園が怪しい」って推理、無理ありすぎない?まず、ダイモーンの卵が空から降って来たのをうさぎたちは目の前で見ているわけだから、卵が直撃した二人の人間が偶然無限学園の生徒だった、って思考が流れるのが普通だと思うんだけど。まあ、百歩譲って、「無限学園が怪しい」っていう推理が未来装置を使って算出した信頼性のある情報だとしても、既に衛の知ってる人で「貴方、前世は王子様ね」とか言っちゃう滅茶苦茶怪しい無限学園の生徒がいるんですけど、そこに懐疑の念が向かないのはどうして?

 

はい、そんなこんなでセーラームーンcrystal デス・バスターズ編1話は終了です。

 

こんな断続的に筋書きを紹介されてもわからねーよ!ってこのブログを読んで思った人のために、今日は私が特別サービスに一言で内容をまとめてあげる。

「下校途中で化け物を倒した」

それ以上でもそれ以下でもないです。

 

なんかもうすでに邪悪な気配を感じるんだけど。まだ三つの変身形態を残しているフリーザ様と対峙している気分。

まあ、まだ一話だし、悪い意味でも良い意味でも先は見えない部分はあるから、腰を据えて鑑賞していこうと思います。

 

 

animekanso.hatenablog.com

2クール+α終了まとめ

2クールが終了時点の26話っていうところがまた絶妙に歯切れが悪かったので、とりあえずほたるメイン回が終了するまでまとめの感想を書かずにとっておきました。

そんなこんなで、まとめを書くにあたって自分の感想を読み返してみたんですけど、最初のあらすじの方で気合い入れてしまうせいか、文章の終盤に近づくにつれて息切れしてる感が半端ないですね。「これはまとめで書くからここで書かなくてもいいや」って投げやりになって実際投げてしまった感想も結構な量ありまして、その負債をどう処理したらいいか悩んでいるところです。

まあ、ここで一番書きたいことはなんといってもやはり、百合界のカリスマことウラヌス・ネプチューンについてかな。このお二方のジャッジメントに関しては、最終回の方までとっておいて、特別枠を設けて批判しようと思ってたんですよね。しかし感想を書くにあたって、このアニメを「1クール終了」「カオリナイト死亡」「聖杯出現」「ほたる登場」「正体バレ」ってな具合で区切りをつけて観るようになって気付いたんですけど、ウラヌスとネプチューンに関しては「聖杯出現」の時点でキャラ的にはもう終わってます。

まあそもそもキャラ的に始まりがあったのかどうかすら疑わしいお二方なんですけど、この二人の存在価値って大雑把に分けて以下の三つなんですよ。

 

①百合

②ナビィ

③叩き台

 

②と③の役割が潰されて、二人でイチャイチャしているしか能がないキャラに成り下がってしまったのが現状なんですね。どういうことかもっと詳しく書きましょうか。

まずは②について説明。ウラヌスとネプチューンって、「新たな敵、デス・バスターズが襲撃してきた」っていう事件にセーラームーンたち主人公を導く役割が与えられていたんですよね。物語の序盤で二人は中々の存在感を醸し出しているんですけど、ミステリアスな雰囲気と相まって視聴者に「次は何がおきるのか?」って期待を抱かせてくるからなんですよ。そういうキャラって、物語的には、彼女たちと関わることで主人公が少しずつ事件の核心部近づくきっかけになり得るんですね。

しかし実際に物語の世界を読み進めてみると、4話の時点で「敵の正体が分からない」とか明言しちゃう。かと思ったら、「敵の正体は何?」といううさぎたちの問いに「気になったら自分で調べることね」とか答えちゃう痴呆っぷり。立派だったのは雰囲気だけで、実は持ってる情報量はうさぎたちと同じで、ただのうっかり無能さんでしたっていう始末。彼女たち外部太陽系三戦士がどういった存在なのか、というそもそもの疑問をぼかすことで雰囲気ミステリアスだけは首の皮一枚で維持しているんですけど、それも28話の冒頭で特に意味も無く(←ココ重要!)ベラベラと口頭で説明されることで、完全に潰されることになってしまいました。

セーラームーンたちの知らない情報アリマス→ウラ「テメェらに教えて堪るかよ!」→(シナリオが次の段階に映る頃合いを見計らって)実はこうでした!→実は特に意味も無い情報でした→ところで、セーラームーンたちの知らない情報ア(ry  って流れ本当にやめてくれ。頼むよ神様。

さて、次に説明するのは③ですね。えっと、一応言っておきますけど、叩き台って、このブログ内での彼女たちの扱い方を称しているわけじゃないですからね。まあそういう意味も込めているんですけど。

簡単に言いますとね、物語の峠に差し掛かった際に、元気しか取り柄の無い凡骨中学生の月野うさぎの「頑張ればみんな幸せにできる」という箸にも棒にも引っかからない信念を盛り立てるために用意された、アンチテーゼという名の産業廃棄物。たたき台、っていうよりも引き立て役とか踏み台の方が適切しれないね。でもまあ、おそらくウラヌスとネプチューンがよく言ってる「誰かを犠牲にしなければならない」って言葉は、“孤高”っていうコンセプトからノリで編み出されたものだろうし、その考えの一歩先を行く考えを持つ人物としてうさぎの立ち位置が決定されたであろうことを予測すると、叩き台って言葉もしっくりくるかな。

叩き台って言葉はそもそも「検討などを経て改善するための原案」って意味なんですね。つまり、原案の素材が悪けりゃ作品のテーマのクオリティにも低く天井が設けられるってことです。各話によって言動、行動に一貫性が無い中身カラッポのウラヌスとネプチューンには荷が重すぎたんですよ。「誰かを救うには誰かを犠牲にしなければならない」とかご立派な正論を吐いておきながら、VIP席の空気を演出するために理由も無く目の前で敵に襲われている人を見殺しにするような破綻した人格者を「原案」としたところで、その対極にある上位互換の改善策って何なんだ、って話になるのは当然といったら当然です。

もう13話の時点で相当怪しい予兆はあったんですけどね。13話の自分の感想で

 

「ウラヌス、あなた怪我してるじゃないの⁉ここは私たちに任せて、逃げるのよ!!」

 

ってうさぎのセリフすら「セーラームーンたちを見捨てる非常なウラヌス」の演出のために用意されたセリフのように思えてならないんですよね。

 

「仕方なしに犠牲者を出す」ことと「他人を踏みつけにしてのしあがる」ことの区別がついてないんじゃありませんか?

 

って書いてありますけど、29話終わった現時点でも、シナリオ展開のために都合よく悪人になるウラヌス・ネプチューン、って構図は健在であります。っていうか、聖杯出現からほたるの参入のこのタイミングが、悪い意味でこの構図が一番浮彫になっているタイミングなんじゃないかなって思います。一応タリスマン出現まではうさぎが主人公していたので、一話完結の話でも盛り立て役としてウラヌス・ネプチューンという名の傭兵が雇われることがあってそれなりの存在感はあったんですけど、新キャラのほたるとちびうさの友情物語に内容がシフトすると同時に、「怪しいほたるを監視する」っていうよーわからん理由でイチャイチャしながら主人公たちを傍観しているだけの空気キャラと化してしまって、自らの存在の希薄さを証明してしまった形になってるんですね。「途中経過なんてどうだっていいや」ってキャラ作りの姿勢とシナリオの流れに歪みが生じたとき、よくもまあここまで背景と同化しきれるものだなぁと、ある意味感心してしまいます。

話を聞くと初期設定から不憫なキャラクターではあったんですけどね。原作者さんが「新キャラは百合にしてみたいんだけど」って、ゴールデンタイムのアニメ製作陣から受け入れられるか恐る恐る聞いてみたところ、案外アニメ制作サイドから乗り気でOKサインが出た、って経緯で作られたキャラなんですよ。だから、百合であることでしか存在価値を見出せない、って現状は初期設定の範疇に綺麗に纏まった形なんですね。

初めてウラヌス・ネプチューンというキャラクターに出会ったときはそれこそ憤りを感じたり腹を立てたりもしたんですけど、今は一周回って「あ~、はいはい、そちらで百合百合しててくださいね~」ってある意味寛容な心持で鑑賞することができるようになりました。だって百合を取ったら彼女たちには何も残らないんだもん。まあ、青臭い見てくれと中身の無さを評して、百合というよりピーマンとでも呼んだ方がいのかもしれませんが。

 

 

さて、口直しに、おそらく作中最もまともな描写のある土萌ほたるについて話そうかな。ほたるとウラヌスたちを比較すると、初期設定を具体的に定めるっていうことがいかに重要か意識してしまいますね。

まずはほたるの初登場の回23話についてです。ここでは風に飛ばされたちびうさの帽子を拾ったほたるが、ちびうさと友達になります。転んだちびうさの怪我をほたるは不思議な力で治してあげるんですけど、「不気味な力」「みんなも気味悪がってる」って自己嫌悪がちになるんですね。それをちびうさが「そんなことない」って否定するところから二人の友好関係はスタートします。「病弱」「複雑な家庭環境」「不思議な力」「不気味な人格」によって孤独なほたるが、ちびうさと仲良くなることで友達の暖かさを知る、って流れに自然なスタートラインになってるんですね。

24、26話はそんなほたるのキャラ設定を紹介するだけの話。

そしてほたるのメイン回は27、28、29話の三話だけになります。ほたるメイン回って「薄幸な生い立ちから暗い心境でいるほたるを、ちびうさが明るい外の世界に連れ出す」流れになるんですけど、27話は色々なところで描写が一歩足りてなかった感じ。逆に29話は色々と飛躍しすぎてしっくりこない感じ。話数的にも中間になるんですけど、28話が一話完結の型に丁度良い塩梅で綺麗に纏まってた感じかな。同じような話が反復するような構成になってると、一話でも綺麗に纏まってる話があると印象もかなりプラスの方に傾くなぁって印象です。

27、29話はどちらかと言えばマイナス印象なんですけど、28話のお陰もあってか、嫌いになりきれないんですね。「やろうとしていることが見える」っていうのかな。ウラヌス・ネプチューンが中心になる話の時に感じる、目印の無い砂漠を歩き進める途方もない絶望感みたいなのとは異質なんですね。ウラヌスたちをどう動かしたらいいのか戸惑っているであろうシナリオを観ると、こういった違いは初期設定の段階で既に生まれて来るんじゃないかな、って思ってしまいます。

 

 

う~ん、最初の方に勢いで書きたいことを書いたら、全体的な話の流れについてすっぽかしちゃってる感があるなぁ。後で見返すためにもざっと書いておいた方がいいかな。

改めて14~29話を振り返ると、殆どが説明回です。ちびうさというキャラの説明、聖杯の説明、ほたるの説明だけでざっと5話以上の尺は割いてるかな。ま、はっきりとした判断基準は無いんですけど。

そこにちびうさの友達作り回、ほたるメイン回、それと聖杯出現という変化球に、ミメットメイン回という謎の一話を挟んで一区切り、と言った感じ。

ピュアな心につきましては、1クールでは「ピュアな心とは何か」といった部分に焦点を当てられた一話完結の話が目立ちましたが、逆に2クール目からはシナリオ展開の道具と割り切られた印象があります。それについては1クールで決着済み、といった認識なんでしょうね。それにしても、17話が、2クール唯一のピュアな心回になっていることに対して、「どうしてこのタイミングで?」っていう単純な疑問が浮かんできますね。どうして?

第29話 魔空の戦い! セーラー戦士の賭け

脚本;隅沢克之

作画;柳沢まさひで

演出;佐々木憲世

美術;田尻健一

 

あらすじ 鼻が詰まってるせいか長文考えるのがダルいので趣向を易き方へと変えてみる

・ちびうさがほたるの家に遊びに行ってるシーンからスタート

・ミメットが滅茶苦茶やって土萌邸の空間を捻じ曲げるくらい強力なダイモーンを製作

・ちびうさとほたるはジュラシックパークと化した土萌邸で遭難

・うさぎたちが変身して助けに行く

・セーラ5戦士がダイモーンとゲーム対決。イカサマされて敗れる

・ちびうさ&ほたるがババ抜きでダイモーンに勝利

・必殺技でダイモーンを撃退

 

 

感想

場面転換に際しての発想の働かせ方が面白いな、と思う回。っとまあこんな書き方しても自分しか分からないですよね。具体的には、ダイモーンが生まれるところと、ほたるがダイモーンにババ抜きで勝つところが、「そう来たか!」と思わせるようなひねりがあって目を引く展開になっていたかな。

まあ、あらすじじゃ書ききれないと思うのでほたるのババ抜きのシーンについて詳しく書きますね。ダイモーンはセーラー戦士たちに「一人でも勝ったらこの空間から出してやる」という条件をつけて、ゲームで挑戦するんです。ダイモーンのインチキによってセーラー戦士たち五人はあっという間に破れ敗れてしまってガラス漬けになるんですね。そこでちびうさとほたるが手持ちのトランプを使ってのババ抜きでダイモーンに勝負を仕掛けます(直接的な描写は無いんですけど、手持ちのトランプを使ったのは、事前にダイモーンにインチキを仕組まれないようにするためだと思われます)。そんで、ちびうさの悪知恵とほたるの素直さに振り回されて、ダイモーンは手持ちにババを持った状態でちびうさが一抜けするんですね。しかしダイモーンは負けを認めなくて、「ほたるが勝ったら負けを認めてやる」と新たに条件を出して一対一の勝負に持ちかけるんです。ダイモーンは表情を読まれないようにテーブルの上に二つのカードを裏返しにして置き、こっそり目印をつけておいたジョーカーを引くようにほたるを誘導するんです。しかしほたるが見事にハートのエースを引き当てて無事勝利。冒頭に「ほたるちゃんはババ抜きが弱くて神経衰弱が強い」っていうちびうさの台詞があるんですけど、ほたるが正解のカードを引き当てる伏線になっているんですよ。それが面白かった、って話。

他には特に見どころらしいみどころは…無いかな。前話の感想で、ほたるのメイン回は「薄幸な生い立ちから暗い心境でいるほたるを、ちびうさが明るい外の世界に連れ出す」って流れがあるって言ってますけど、そういう方面での話のまとめ方はしてないです。伏せられた二枚のカードのどちらを引こうか迷ってるシーンでうさぎたちが「ほたるちゃんの好きな方を引いて」って励ます展開があって、ほたるも嬉しそうにしているんですけど、正直ノルマ達成するための通過儀礼って印象が強いです。うさぎならとにかく、他の四人のセーラー戦士たちが「ほたるの友達」とか言い出すのも不自然だし、「あなたを信じてる」なんて内気なほたるに言っちゃいけないくらい重い台詞言い出すし。百歩譲って暖かい友情物語を認めたとしても、ほたると、ほたると初対面のセーラー戦士たちがたった数十分の間に信頼の絆で結ばれたことになって、これまた奇天烈な内容に。当然、ほたるはセーラー戦士の正体を知らないわけなので、ほたる視点ではうさぎもストレンジャーの一人です。

 

 

はるかとみちるとせつな

色々書こうと思ったけどやめました。いつものアレです。

ただ、この二人と関わったばかりに、せつなさんまでも「死にそうなちびうさを平常心で傍観」するという迷走っぷり。

 

スゴくどうでもいいんだけど

ちびうさのパンチラ多すぎない?

第28話 より高くより強く!うさぎの応援

 

あらすじ

衛はうさぎ含める内部太陽系戦士たちに、ウラヌスたち外部太陽系三戦士がどういった戦士なのかということを説明します。

一方、ほたるは家で、自室の机に向かってファンレターを書いていました。宛先は、陸上競技の高跳びで日本記録を出した速水選手です。ファンレターを覗き見するカオリナイトに怒るほたるでしたが、カオリナイトから「出す勇気も無い手紙を書くなんて」と笑われてヘコんでしまいました。

ほたるは落ち込んだまま、ちびうさの家に遊びに来ます。いつもの調子で喧嘩するうさぎとちびうさを見て、ほたるは元気をもらいました。

ほたるはちびうさたちにファンレターを書いた話をします。「手紙をどこに出したらいいか分からないし、それに…」と言うほたるに、うさぎたちは、それなら本人に出してしまおうと提案するのでした。

しかし、速水選手ほどの大物になると、誰でも気軽に会えるわけではありません。ほたるたちは競技場に向かったものの、警備員さんたちから通せんぼうされてしまいます。しかし、そこに速水選手が現われて、思いがけずほたるは対面することができるのでした。

しかし、いざ本人と直に会っても、手紙を出す勇気はありません。ダイモーンに襲われて、手紙は燃えてしまい、ほたるは気を失ってしまうのでした。

ダイモーンはセーラームーンたちが撃退しました。意識を取り戻したほたるでしたが、そこには心配するうさぎたちと、速水選手がいました。速水選手は子供の頃病気がちだったことをほたるに話し、二人は共感します。

後日、ほたるはテレビ画面に映る速水選手を応援します。その表情は、こころなしかどこか明るげなのでした。

 

 

 

感想

ようやく外部太陽系三戦士がどういった存在かというものがうさぎたちに明かされました。視聴者には24話の時点で既に教えてくれました。なぜ主人公たちと視聴者ではに明かされるタイミングが違うのかというと、それはですね・・・なんと、特に意味はありません。まあ、いつものアレです。

 こんな感じで、今回はそこはかとなく不安にさせる始まり方をするんですけど、内容の方はほたる中心にきれいにまとまっているかな。小さい頃身体が弱かった速水選手に憧れる、っていうスタートラインも、病気がちな12歳っていうキャラクターの特徴を捉えていてGOOD。ファンレターを出す勇気が無いほたるを、行動的なうさぎとちびうさが速水選手のところまで連れて行くって展開も、前回の感想でも書いた「ほたるをリードするちびうさ」って関係性が描かれていていい感じ。で、「朝起きると元気にスポーツをできているのが夢だったんじゃないかって思うことがある」って話をする速水選手も、ほたるのキャラ立てしつつ自分のキャラも確立してて、脇キャラとして良い立ち回り方をしています。

 反発するほたるにカオリナイトが「最近は強くおなりなこと」って言うシーンがあるんですけど、ちびうさたちと知り合うようになってちょっと明るくなったってことなんでしょうね。こういう、細かいところで昔の話の流れを引き継ぐ描写もGOOD。

 全体の流れが掴みやすいっていうところも好印象かな。ほたるの家→うさぎの家→競技場 という感じで3つの背景で構成されているので、物語の全体像を掴みやすい流れになっています。27話28話と続けてみたから尚更思うんですけど、27話みたいに視点と場面が落ち着かない話は、視聴者に優しくないんだよなぁ。

 それと、今回はかなり演出が凝ってます。凝りすぎてて警備員の下りは若干意味不明。だけど、ちびうさの必殺技の撃ち方には笑ったなぁ。あと、カオリナイトがヌッって出て来る演出は神。

 

 

ほたる

ほたるメイン回って、「薄幸な生い立ちから暗い心境でいるほたるを、ちびうさが明るい外の世界に連れ出す」って流れになるんですよね。内気でカオリナイトとの折り合いがうまくいかないほたるの描写も丁寧でしたし、「手紙を渡してはい終わり」ではなく、棚ぼただったけど速水選手と直に言葉を交わすことができて笑顔で応援できるようになった、ってラストもいい塩梅に纏まっていたと思います。

第27話 嵐のち晴れ! ほたるに捧げる友情

・杉原めぐみ 脚本

・柳瀬譲二    作画

・遠藤勇二    演出

・浅井和久    美術

 

あらすじ

ちびうさの遠足の買い物のために、ちびうさ、うさぎ、衛の三人はショッピングに出かけていました。ちびうさたちは雑貨屋さんで買い物をしていたところ、たまたま店の前を通りかかったほたると遭遇します。しかし、ほたるはちびうさの姿を見ると逃げ出してしまいました。

ちびうさは雑貨屋さんで買ってもらったリュックをほたるの家に届けました。ほたるはリュックにメモが入っていたのを見つけて読むと、このリュックを持ってピクニックに一緒に行こう、と書いてあります。

父親の勧めもあってのことか、ほたるはちびうさと一緒にピクニックを楽しみます。

ピクニック先には、衛の大学時代の先輩(←名前が分からないから適当に薔薇博士とでも呼びます)が働いている植物園があります。その先輩は、植物園で薔薇の品種改良の研究をしているようです。(Aパート終了)

 

季節外れの雹が降ります。

雹のせいで植物園の天窓が割れてしまいます。このままでは、植物園が滅茶苦茶になってしまいます。うさぎたち植物園の人たちの応援に行くことに。

そして、うさぎたちの知らないところでほたるも薔薇博士を手伝っていました。「薔薇の品種改良にはただ美しくするだけではなくて、丈夫にするものもある」って物語の締めに繋がるであろう意味ありげな台詞を投げかけるシーンはココです

ダイモーンが現れました。薔薇博士のピュアな心の結晶を奪ってしまいました。ほたるも意識を失ってしまい、ピンチです。

セーラームーンたちが表れてダイモーンに立ち向かいますが、最初こそは優勢だったものの、不意をついた攻撃にピンチに陥ります。しかしその時ほたるの全身が光り、薔薇型のダイモーンは蔓を握られ生気を吸い取られます。その隙にセーラームーンは必殺技で撃退。

敵は撃退し、空は晴れ、虹がかかり、万事解決なのでした。(Bパート終了)

 

感想

この話がセーラームーンSの中で比較的好きな部類に入る、と思い込んでいたけどそれはもう一話後の話でした。となってしまうくらい印象が薄い回。

なぜそうなってしまったかっていうと、オチがはっきりしないんですよ。薔薇博士さんがほたるに「薔薇の品種改良にはただ美しくするだけではなくて、丈夫にするものもある」って物語の締めに繋がるであろう意味ありげな台詞を投げかけるシーンがあるんですけど、最終的にはそれに触れることもなく、虹のかかった青空をみんなで見上げて終わり、というモヤモヤッとしたラストになっているんですよ。

まあ、この博士の台詞自体は、ほたるを落ち込ませてしまうかもしれない破壊力を隠し持っているもんなんですね。だって、品種改良って、悪いものを良いものに変えるって意味なので、身体の弱いほたるを悪いものとして否定する意味合いもありますから。話のオチとして利用するには、扱いが若干難しい台詞だったのかもしれません。

でも、たとえば、雹にも負けない薔薇を見て自分も負けてられないと思ったとか、まだ改良途中の薔薇を自分と重ね合わせて応援したい気持ちになったとか、それらしいラストはいくらでも考えられると思うんですけどね。ってか、何か描写一つでもないと、あの博士の台詞を入れた意味が無いじゃないか!

っていうかこの話、後半に入ってからが粗が目立つんですよね。空模様が怪しくなるシーンの前後から、ほたるの言動が突拍子ないものになったりと、物語の流れまでも雲行きが怪しくなっていくんですよ。後半パートが始まってからすぐに、ほたるがいきなり「疲れたの。先に行って」ってちびうさに突き放すような感じで言うんですけど、その理由が「友達を傷つけたくないから」というもの。しかし、ほたるが薔薇園に来たっていう時点でそういう気持ちには踏ん切りがついているはずなんですね。心境の変化があったのかもしれないですけど、それらしい描写は無し。まあ、ほたるがうさぎやちびうさから離れる、ってシチュエーションを作りたかった、ってだけなんでしょうけど、それにしてはちょっと話の繋ぎがぎこちないなあと思いました。しかも、ダイモーン戦なんて、セーラームーンたちの目の前でほたるが不思議な力を発揮するんですけど、ムーンたちは勿論ミメットたちですら彼女を認識してない、っていうヤケクソっぷり。あんだけ発光してりゃ気付くだろ、っていうね。

そんなこんなで、後半は収拾がつかない内容に仕上がっていました。しかしその反面、ほたるの過去に関する描写に焦点が当てられている前半は丁寧なんですね。特に好きなシーンは、「明日これ持ってきて!」とちびうさがほたるに遠足のリュックを渡すシーンかな。友達を作ることに消極的なほたると彼女をリードするちびうさ、っていう二人の関係性が分かりやすくてね。衛、うさぎ、ちびうさの三人を見て、幸せな家族関係に憧れるような描写も、ほたるの生い立ちを端的に表していて視聴者に優しいと思いました。